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2021.03.30先輩移住者の声,移住者ブログ・仕事

渋温泉食堂 gonki 岸田陽一さん・里佳子さんご夫妻

一番食材がいいところはどこだろう。そうして辿り着いたのが山ノ内町でした。



そう語るのは、2020年1月に温泉街に渋温泉食堂 gonkiをオープンした岸田陽一さん・里佳子さんご夫妻。
お二人ともフランス・アルザス地方で料理を学び、大阪や東京などの三ツ星レストランでキャリアを積んできた中で、自らの店舗を構える一番最適な環境を探し求め、山ノ内町に出会ったのだといいます。

地産地消の考え方を重んじるフランス料理には、素材は命とも言えるもの。



「以前働いていた軽井沢のレストランでも県内の食材を多く扱っていて、全国的に見ても長野県の食材の良さには確信があったんです。恵まれすぎているくらい。」

大阪や広島など他県も候補に挙がる中、これまでに築き上げてきた生産者の方とのご縁、そして地の食材の魅力や、どことなくアルザスに似ているという山や空に囲まれた豊かな自然が夫妻を山ノ内町へ呼び寄せたようです。

地域の繋がりを大切にしていく、少し懐かしい感じのする雰囲気もアルザスと似ています。



「渋温泉3番湯『綿の湯』の目の前にある元はスナックだった空き店舗を町の補助金も活用して改装。
温泉街になじむ暖簾のかかった入り口を入ると、外観とはうって変わって、店内はまるでアルザスのおばあちゃんのおうちへ遊びに来たような、温かな雰囲気が漂います。



敷居をできるだけ低くして、気軽に料理を楽しんでもらえる場所にしたかった、という陽一さん。
「渋温泉食堂」というお店の肩書きにも、そんな想いが込められています。



お料理はフレンチ寄りですが、日本人にも馴染みやすいような和の素材やアレンジで提供することもしばしば。
地元の食材をふんだんに使いながら、おいしい料理を楽しめる空間を目指しているそうです。

「gonkiという名前は、僕の父の秋田の実家から屋号をもらったんです。渋温泉は、昔ながらの懐かしさがあって温かみのある町なので、人が使ってきたものを大切に伝えていく、というテーマがこの場所にあっているなと思って。」

お店では、ご実家の蔵から持ってこられたという和食器や、お父様から譲り受けたという出身地・岡山の備前焼、そして料理のルーツであるアルザス地方の食器がセンスよく組み合わされて使われており、ご夫妻のルーツとこだわりが感じられます。



「アルザスの人は自分の地元が好きな人が多いんです。でも、日本人は自分の生まれ育った場所がすごく好き!という人は少ない気がして。それがちょっと悔しいなと思ったんです。
自分たちが好きと言える場所を見つけて、日本に行きたい、とフランス人に言ってもらえるような場所にしないと。
渋温泉は昔の人が丁寧に作って築いてきたものがしっかり残っているし、とても文化的な場所だと思います。
こういう場所こそ大切にして、フランス人にも教えてあげたいですね。」



人が時間を重ねて築いてきたものが、新しい人に受け継がれていく。
こうしてまた山ノ内町の未来が魅力あるものになっていくのでしょう。


食の宝庫・山ノ内町
クリエイティブの源は自然の恵みから


「仕入れがあってからメニューを考えるのが基本。地産地消にこだわるからこそ、素材ありきで料理を組み立てています。」
という陽一さん。

一応定番メニューはありますが、いつも食材と対話をするように、アイディアを膨らませて調理をしていくのがgonki流。



「自然の中で生きている食材の方が作っていてもいつも違うし、出来上がりもワクワクする。
ワイルドなパワーがありとても美味しい。もちろん個体差が出るので、いつも正解というわけではないけれど、こちらの想像を超えてくるのは、まさに自然の恵みだなと思います。」



そんなクリエイティブな料理の源となるのが山ノ内町のローカル食材たち。
自然に囲まれた環境だからこそ得ることのできる豊かな恵みを、楽しみながら本物の「地産地消」を体現されています。

山のもの(山菜、渓流魚等)
山の食材を通して、季節の移り変わりを誰よりも早く感じているのだそう。


フルーツ(りんご、ぶどう、プルーン等)
山ノ内町で採れたフルーツは、伝統的なフレンチにもぴったり。


ジビエ(イノシシ、クマ等)
イノシシ肉で作ったリエットは、豚肉だと物足りないと感じて戻れないほど美味しいと口を揃えていました。


きのこ(イグチ、なめこ、クリタケ等)
知り合いの名人に教わりながら自ら採ったというキノコ。


仕入れによってメニューが変わるgonkiさん。事前にご予約いただき、好みや希望をお伝えいただくと、シェフがより腕を振るってくれるはずです。


町全体で子どもを見守る 渋温泉での子育て


店舗の真裏にある岸田さんご一家の自宅。元々は別々だったものを繋げお店と自宅が自由に行き来できる、暮らしとお店が一体化した作りになっていて、夫婦で手分けをしながら、レストランと子育てを両立しています。



岸田さんご夫婦の子育ては、お店でのお仕事同様に夫婦で手分け。
「いつもこんな風にしているので。」と笑顔で語る里佳子さんは、長女を抱っこしながらお店をてきぱきと片付けます。



渋温泉界隈では、両親ともに商売をしているお宅が多く、近所の子供たちで徒党を組んで遊び回っています。
保育園や学童保育の受け入れ態勢が充実していることも、とても大きいと言います。
「地域性が強くて、みんなで子供たちを見守っている感じがあるんです。車もそんなにスピードを出せない場所なので安心。おおらかさが残っていて子育ての面でも安心できる場所です。」



仕事と子育ての良い距離感を保ちながら、家族のペースで暮らしていくことができるのも山ノ内町の魅力の一つかもしれません。

渋温泉食堂 gonki

〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏2267-3
Instagram / @gonki.manger.et.boire
Fecebook / https://www.facebook.com/shibuonsen.aperitif.dinner.bar.sake.vin.gonki/
※営業時間等について、お店へお問い合わせください。

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