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2021.03.30先輩移住者の声,移住者ブログ・仕事

里山ようちえん おやまのおうち 山崎 龍平さん

自然の中での遊びが子どもたちの基本的な部分を作るんです。
遊ぶことは学びであり、生きることです。



そう熱い想いを語るのは、6年前に東京から山ノ内町へ移住した山崎龍平さん。
4年前にかねてからの夢だったという保育園『里山ようちえん おやまのおうち』を開園。



子どもたちからは「山ちゃん」の愛称で親しまれ、日々保育の現場で子どもたちの成長を見守っています。
「学校にいるときから、やるなら自分でやる方が面白そうだと思っていたし、自由なのびのびとしたやり方に興味がありました。」
という山崎さんは、以前は東京の保育園に勤務。
「自分たちが自然の多い場所で育ったので、東京の自然の少なさに違和感を感じていました。」

そんな中で起きた東日本大震災。
さらに厳しくなっていく子どもたちの遊び場の環境を目の当たりにし、移住を決意。
妻(薫さん)の実家がある長野県北信エリアで仕事を探し、運命的に山ノ内町にある牧場にたどり着きました。



「私も主人の話を聞いて、自然の中で一緒に保育をやりたいと思ってついてきました。」とにこやかに語る、妻の薫さん。
移住後は山ノ内町須賀川地区の牧場でしばらく働き、10年くらいのスパンでゆっくりと開園をしていく予定だったそうですが、山ノ内で出会った様々なご縁が繋がったことで、思い描いてたものにぴったりの場所に出会い、移住から2年後に保育園を開園することとなりました。




自由の中で、見つけた知識と経験が合わさり、生きる知恵となる。


「おやまのおうちには基本的なこと以外に決まり事はありません。朝来て、いつ何をやるかも自分で考えて、見通しを立てて生活する。ここでは、親から離れて自分で自立して、遊んだり、生活する時間なんです。」



お昼の時間も、昼寝の時間も自由。朝から寝ている子どももいますし、お昼ご飯を早めに食べる子どももいる。すべては自分で見通しをもって生活できればそれでOK。

「自由に好きに遊ぶことで、自主性や探求心など色々な力を身につけていくんです。」



山崎さんの方針は、あくまで子どもに主体性を持たせ、自分で考えさせる、というもの。
遠目から見て必要な時に手を貸す。興味を持つものが見つかった子どもは、その部分を伸ばしてあげる。



「卒園するときに好きなものがたくさん見つかっていることを目指しています。将来大きくなって仕事を決めるときに、必ず子どもの時好きだったものを思い出しますよね?その時に思い浮かぶものが沢山あった方が、将来何をするか考えやすいし、好きなことを仕事にできたほうが楽しいと思うんです。」



遊びの中で見つけた知識と経験が合わさって、暮らす知恵になる。


山崎さんが保育園の場所を選ぶにあたり大切にしていたことは、自然豊かな環境。
「子どもは遊ぶことが仕事。自然の中で遊びながら、色々なことを体験して学んでいるんです。」
それができる環境が山ノ内の須賀川地区にありました。



「水をコップに入れて外に置いていたら水が減っている。これは太陽が取っていったんだ!ということに気が付いた子どもがいました。
こういう自然の中の学びがあれば、小学校で勉強する以上のことが得られますよね。」

なぜだろう?と立ち止まり、考えたり調べたり観察したりすることが、徐々に知識になっていく。
幼児期のこの経験が、生きていくために必要な力を養っていくのだといいます。

【水のある環境】
園内の敷地には、小川が流れ田んぼがあり、子どもが大好きな「水」がここでは自由に使えます。
また、雪深いこのエリアには融雪用の池がある古い民家が多くあります。
固まる、流れる、土と組み合わせると様子が変わる・・・子どもたちは春夏秋冬の遊びの中で水の様々な性質や特性を知っていきます。
水辺には生き物も多く集まり、縁側から蛍を見ることもできます。


【傾斜】
田んぼや畑が多い須賀川地区。園内にある田んぼの段差や畦道の傾斜で遊ぶことにより、子どもたちの体幹はみるみる鍛えられ、今では斜めの畦を全力で走ってくる子どもも!


「おやまのおうち」 プログラムのご紹介! 食う・寝る・遊ぶ


遊ぶことは生きること。学びは遊びの中にある。
という保育理念を掲げる「おやまのおうち」では、須賀川地区の自然を存分に活かす活動をします。

【田んぼで農作業】
ヤギのナナくんの糞を堆肥に、自分たちで苗を育ててお米を作ります。子どもたちの身の丈に合わせて無農薬の循環式農法を取り入れています。


【一人ひとりの畑】
子どもたちは一人ずつ自分の畑を持ち、自分の好きなものを育てます。水くれ(やり)、草とり、もちろん収穫も自分たちで管理するので、ものすごく個性が出ます。


【泥んこプール】
休耕中の田んぼを生かした泥んこプールは子どもたちの人気スポット。張り切って家から水着を着こんでくる子もいるのだとか。


【地域との関わり】
地域の老人ホームへ遊びに行ったり、渋の温泉旅館へ掃除に出かけたり。子どもたちは地域と関わりながら、山ノ内ならではの文化を学んでいきます。


ゆくゆくは小学生以上の子どもたちの遊びや居場所作りの支援ができるような場所も目指したいという山崎さん。
不定期で「おやまcafe」という園庭開放を行ったり、誰でも気軽に立ち寄れる「あそびば」というイベントを開催しながら、幅広い「遊びの場」を提供されています。
詳しくはHPやFacebookをご覧ください。

里山ようちえん おやまのおうち

〒381-0405 長野県下高井郡山ノ内町夜間瀬8887
ホームページ / https://www.oyamanoouchi.org/
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